目標設定が最初のステップ!

Setting your goals is the first step.

 受験にかぎらず、なにに取り組むとしても、いまの自分の状態で目標を決めるのではなく、まず自分の本当の気持ちで目標を決めることだ。目標を達成するための取り組みを続けているうちに、もしかしたら目標が変わるかもしれないけれど、第一に、いまの気持ちで自分の目標を決めよう。そうしないと、いつまでも第一歩が踏み出せない。
 コーチングやカウンセリングの世界では、Want to(進んでやりたい)か、Have to(いやいややる)か、という問題になるけれど、自分の本音で決めた目標なら、ひとは自発的に取り組むことができる。自分から進んで取り組むとき、君の「内なる力」が発揮され、君は自分の目標にむかって確実に前進できる。
 神経科学で説明すれば、Want toのときは、脳の海馬が活発に働くから学習をどんどんと吸収することができる。Have toのときは、脳の偏桃体が海馬の働きにブレーキをかけるから学習をなかなか吸収することができない、ということになるだろう。
 さらに、Have to(やらねばならない)の隠れた心理は、「できればやりたくない」であるから、ひとは「やらなくていい」あるいは「やらなかった」理由をあれこれと見つけ出す。だから、計画を実行しなかったとき、ひとはたくさん言い訳を見つけることができるのだ。
 もし、君が、学習や取り組みに対して「やらされている」と感じているなら、一度、立ちどまって、自問自答したほうがいい。
 この学習や取り組みは、自分にとって、必要なことであり、やりたいことだろうか?
 この学習や取り組みは、自分の目標につながっているだろうか?
 君が「やらされている」と感じていて、「やりたくない」と思っているなら、現在の学習や取り組みは、君にとって、早く逃げ出したいものであり、忘れてしまいたいものにすぎない。いやいや取り組んでいるなら、君は集中することも、吸収することもできない。なぜなら、だれでも、いやなことは、できるだけ自分から遠ざけたいからだ。
 でも、立ちどまった君は、自問自答する。
 自分のさしあたっての目標は、AとBだ。Aは、近い目標で、通知表評定を全教科4と5にすること。Bは、すこし遠い目標で、志望校に合格すること。Bを達成するためには、Aを達成することが必要であり、Aを達成するためには、現在の学習や取り組みが必要になる。わたしは志望校に合格したい。志望校に合格するために通知表評定を全教科4と5にしたい。そのためには、目の前の学習や取り組みが、どうしても必要だ。
 「では、自分は、学習したいのか? どうしても取り組みたいのか?」
 もし、志望校合格が君の本気の目標であるなら、君の答えは、「やりたい!」(Want to)のはずだ。
 このように、自分の本音や目標を確認することができると、君は、俄然として、やる気になる。やる気になれば、たいていのことは、できるようになる。
 どんな行動も、目標設定が最初のステップだ。そして、君の本気度が目標達成のカギになる。
 英語のことわざに、「馬を水際に連れていくことはできるけれど、水を飲ませることはできない」(You can lead a horse to water but you can't make him drink)というのがある。水際に連れていっても、飲みたくない馬は水を飲まない。学習もまったく同様である。学びたくない人は、学ばないし、学びたい人は、どんどん学ぶのだ。

山手学院 学院長 筒井 保明